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アレルギー性鼻炎に鼻うがいが効果的!
鼻うがいのメリットは、鼻の粘膜にある異物を洗い流せることにあります。
花粉やハウスダスト、ダニなどのアレルギー性鼻炎の原因物質やウイルスのような異物は、鼻の粘膜に付着します。
このような異物を洗い流すことで、アレルギー性鼻炎の症状の軽減につながります。
独協医科大学越谷病院耳鼻咽喉科の渡辺建介教授も、鼻の粘膜の洗浄による炎症の抑制効果が期待できると鼻洗浄を推奨しています。
渡辺教授の研究グループは、スギ花粉症の患者を対象に、鼻洗浄で症状がどれほど軽減するかを検証しました(日本鼻科学会誌 2005;44:17-22.)
この結果、
「試験は症例が少なかったため有意差は十分に出なかったが、花粉症の症状に対して鼻洗浄の有効であることがある程度示された。その後の鼻洗浄に関する報告も踏まえ、鼻洗浄の有効性は確かに存在すると見ている」
との結果でした。
アレルギー性鼻炎に効果的な鼻うがいの洗浄液の作り方
衛生的な面から考えて、作り置きはせずにその都度作るようにしましょう。
- ぬるま湯(41℃程度) 1リットル
- 塩 小さじ1.5杯(9グラム)
できれば、水道水ではなくミネラルウォーターか精製水を使いましょう。
水道水を使用する場合には必ず1リットルを10分ほど沸騰させて殺菌させましょう。
この塩分濃度は、体液の浸透圧とほぼ同じ0.9%の濃度なので、血球や組織などに影響を及ぼさない濃度のもので生理食塩水といいます。
身近なところだと、コンタクトの洗浄液や点滴などに使われています。
塩分濃度が違う液体を粘膜に使ったりすると、細胞が刺激されてしまうため、痛みを感じてしまいますので、塩分濃度は正しく測って作るようにしてください。
食塩水を入れる容器も沸騰させたお湯で殺菌しましょう。
生理食塩水は処方箋がないと購入することができませんが、市販の鼻洗浄液は販売されています。
生理食塩水の温度は、41℃程度にするのがいちばん浸透圧による刺激を軽減させることができるとされています。
鼻うがい・鼻洗浄の方法
特別な容器や道具は必要ありません。自宅にあるどんぶりを使った方法をご紹介します。
どんぶりを使った鼻うがいの方法
- どんぶりに上記で作った洗浄液を入れます。鼻から水がこぼれて衣類などが濡れてしまうことがあるので、首周りにタオルをかけましょう。
- 洗浄液の入ったどんぶりを顔に近づけて、片方の鼻の穴を指で押さえ、もう片方の鼻の穴から洗浄液をゆっくりと吸い込みます。
- 飲み込んでしまわないように、「えー」などと声を出しながら行うとよいでしょう。耳への圧力も軽減されます。
- この時前かがみの姿勢のまま行いましょう。
- どんぶりから顔を外し、吸い込んだ洗浄液を鼻から出します。
- 慣れてきたら、洗浄液を吸い込んだあとに少しだけ上を向き、口の方へ液を落として口から吐き出すとさらに効果的です。
- もう片方の鼻も同じ要領でおこないます。
- これを3〜5回繰り返します。
洗面器でもよいですが、清潔なものを使用するようにしましょう。
また、ドレッシングボトルなどノズルの付いたものでもよいです。
薬局で「ハナノア(小林製薬)」という市販の鼻洗浄液も購入することができます。
鼻うがいの注意点と安全に鼻うがいをするためのコツ
洗浄液は正しく生理食塩水を作ること
温度や塩分濃度、水道水をそのまま使わないなど、上記で紹介している方法で生理食塩水を作るようにしてください。
塩分濃度が濃かったり、真水を使ったりすると、痛みが生じてしまったり、粘膜を傷つけてしまう可能性があります。
頻度は1日1回までにしましょう
鼻うがいをしすぎると、鼻の粘膜の線毛や粘膜がうまく機能しなくなってしまうため、回数をあまりしすぎるのは逆効果です。
鼻うがいの頻度は1日1回までにしましょう。
鼻うがいのあとは鼻をかまない!
鼻の中に生理食塩水が残っていますので、鼻をかむと耳管の方に水が入って、中耳炎等になる危険があります。
鼻の中の洗浄液がほぼなくなったのを確認して、静かに鼻をかむようにしましょう。
鼻うがいの途中で唾や洗浄液を飲み込まない!
こちらも中耳炎の原因となってしまいますので、水を吸い込んだあとには息を止めたり、声を出したりして、絶対に飲み込まないようにしましょう。
鼻うがいの後は口の中もきれいにしましょう
鼻から出た雑菌などが喉に流れた場合に、そのまま放置すると風邪の原因となってしまいますので、歯磨きやうがいをするなどして、口の中の雑菌も洗い流すようにしましょう。
ノズルのあるボトルを使う時には強い圧で洗浄しない
ドレッシングボトルやノズルのついたボトルを、薬局で購入した市販の洗浄液をを使う時には、強い圧で洗浄すると中耳炎を起こす可能性があるので、刺激のない圧力で優しく洗浄するようにしましょう。
鼻うがいは根本的な治療にはならない!
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎、後鼻漏などには、症状を軽くする助けにはなりますが、根本的な治療にはなりません。
診断を受けていない場合には、まずは耳鼻咽喉科を受診するようにしてください。
鼻うがい・鼻洗浄のタイミングや期間
鼻うがいを行うタイミングは就寝前がよいと言われています。
朝起きた時に、鼻水や鼻づまりがひどくなるといった経験はありませんか?
これは、早朝目覚める頃に交感神経と副交感神経のバランスが崩れることによってアレルギー性鼻炎の症状が悪化してしまうためと言われています。(「モーニングアタック」と呼ばれており、理由は諸説あるようです。)
このため、就寝前に鼻うがいをすることで症状が悪化するのを防ぐことができます。
また、花粉が原因で鼻炎の症状が出ている場合には、花粉の飛散が多くなる期間の2週間くらい前から鼻うがいを始めるといいと言われています。
花粉が飛散し始める頃には、まだ症状が出ていなかったり、軽くすんでいることが多いと思いますが、早い時期に鼻うがいを始めておくことで、花粉の飛散量が多い時期に症状を抑制することができるのです。
風邪を引いてしまうと鼻炎の症状が悪化してしまうため、風邪予防のためにも、冬季から粘膜を保護する意味でも鼻うがいが大切といえます。
鼻うがいはアレルギー性鼻炎のほかにどんな効果がある?
- 副鼻腔炎(蓄膿症)の症状の緩和や予防
副鼻腔炎(蓄膿症)では、アレルギー性鼻炎と鼻水の性質が異なり、膿のような鼻水や粘り気のある鼻水が鼻の中に溜まります。
これを放置しておくと鼻の粘膜の役割がうまく発揮できず、症状がさらに悪化してしまう可能性があります。
鼻うがいをすることで、鼻水を取り除いて鼻の機能が果たせるように回復させることができます。
- 風邪やインフルエンザの予防
風邪などのウイルスは、鼻や喉などの粘膜から体内に入り込みます。
このため、うがいと同様に、鼻うがいも効果があると言われています。
- 鼻づまりの軽減・解消
花粉症や鼻炎などによる鼻づまりを軽減させることができます。
- 口臭予防
鼻水が喉に垂れてきてしまうような後鼻漏の症状がある場合には、最近によってにおいの原因となる物質をつくり出し、口臭が悪化してしまう可能性があります。
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